未経験から副業に|管理栄養士・金澤さんが語るヘルスケアライターのリアル

医療や健康に関する情報を「伝える」仕事──ヘルスケアライター。
専門性を活かせる一方で、「文章が苦手…」「自分にできるのかな」と不安に思う管理栄養士も少なくありません。
今回は、管理栄養士の副業として注目されるヘルスケアライターという働き方を選び、未経験からキャリアを築いた、金澤さんにお話を伺いました。
執筆との出会いから、乗り越えてきた壁、そして今の働き方まで、じっくり伺いました。

ヘルスケアライターになったきっかけと経緯
そもそものきっかけは?
糖尿病専門のクリニックで働いていたとき、患者さんから「テレビで見た○○って、実際どうなんですか?」と聞かれることがよくありました。このようなシーンで、なんとなくの知識はあるのに根拠がわからず、はっきりと答えられないことにすごく悔しさを感じていました。
そこで、専門家として巷の健康情報の真偽を正しく判断できるようになるために、論文を読みこなせるようになりたいと思ったことが、すべての始まりでした。
最初からライターになろうと思っていたのですか?
実は、まったくそんなことはなく、まさか自分がライターになるなんて思ってもみませんでした。論文読解の勉強に取り組む中で、せっかく学んだことを何らかの形で活かせないかと考えたことが、ライターを目指すきっかけとなりました。
しかし、もともと文章の読み書きには苦手意識があり、最初は1記事書くのに3日以上も時間がかかっていたくらいです。自分には向いていないのかもしれないと感じたことも何度もありました。
苦手意識がある中で、どうして続けられたのですか?
ライターの講座(ヘルスケアライティングアカデミー)を受講し、講座の中で実際に書いた記事を添削してもらえたことが大きな支えとなりました。「ここを直せばもっとよくなる」というフィードバックをもらいながら、記事を書く練習を重ねるうちに、少しずつ自信がつきました。それがなかったら、たぶん途中で諦めていたと思います。
専門性を活かした執筆の魅力と難しさ
どんなテーマの記事を書くことが多いのですか?
糖尿病や生活習慣病など、実務経験が活かせる分野が中心です。自分が現場で経験してきたことをや学んできたことをベースに書けるので、調べ物もスムーズですし、何より自信を持って書けるんです。
自分の関心あるテーマを深掘りして文章にまとめる過程は、知識の整理にもなり、学び直しの機会にもつながっています。
苦手なジャンルはありますか?
今まで仕事で携わってこなかった分野はリサーチに時間がかかって大変でした。科学的な根拠のある情報をきちんと伝えるために、情報の正確性を精査する作業に多くの労力が必要で…。また、言葉の選び方や伝え方一つで読み手側の解釈が変わってしまうため、誤解を招かない表現を心がけることの重要さを痛感し、伝えることの難しさを改めて実感しました。
記事の構成を練ったり、すでに世の中に多く出回っているテーマにどう切り込むかなど、差別化の難しさは今でも感じています。

“書く仕事”から広がったキャリアの可能性
現在は、ライター講座の受講生の課題を添削する仕事もされているんですよね?
はい。以前は自分が書くことがメインでしたが、今は書けるようになりたい人をサポートする側の仕事もしています。自分が苦労した経験があるからこそ、受講生の方がどこで悩まれるかが分かることも多く、1人1人に寄り添ったサポートをしたいと考えています。
AI時代に求められる専門性と信頼性
AIを使って記事を書く人も増えていますが、どう向き合っていますか?
私もライターの仕事などで、生成AIを活用しています。しかし、AIの情報をそのまま記事にすることは怖いと感じています。たとえば、“◯◯は××に効果があります”と出てきたときに、その真偽については鵜呑みにせずに自分で確認するようにしています。まだまだAIも健康情報の取り扱いの面では未熟なところも多く、科学的な根拠が必要な記事執筆においては、最後はきちんと専門知識を活かして自分の目でチェックしないと不安が残る印象です。
管理栄養士の資格は、ライターとしてどう活かせると感じますか?
やっぱり信頼につながると思います。“誰が書いたか”というのは、健康分野では特に重要視されているのではないでしょうか。管理栄養士という国家資格があることで、クライアントや読者の方々にもより安心してもらえる気がしています。
金澤さんにとって、ライターの魅力とは何ですか?
一番のやりがいは、自分の知識を必要としている方に届けられることです。時間や場所に縛られないため、副業としても取り組みやすく、柔軟に働ける点が魅力です。
未経験からでも大丈夫。自分の専門性が価値になる
最初は文章なんて書けないと思っていました。でも、学びながら、少しずつできるようになっていきました。ライティングスキルを伸ばすためには、特別な才能がある必要はなくて、やってみたいという気持ちがあれば大丈夫です。
最後に、金澤さんからライターを目指す方にメッセージ!
「自分の苦手だったことが、今では仕事になっています。続けてきたからこそ見える景色があって、そこで出会える人もいます。書くことに少しでも興味があるなら、今の自分を否定しないで、一歩踏み出してみてください。きっと、やってよかったと思える日が来ると思います。」
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