管理栄養士が見つけた“在宅で生きる道”―子育ても仕事も大切にできる働き方とは?

家庭を大切にしながら、在宅で働ける管理栄養士になりたい——そう考える人は少なくありません。今回お話を伺ったのは、在宅でヘルスケアライターとRD(リサーチダイエティシャン)として活躍する管理栄養士・牧子さん。

子育てや家業と両立しながら、自分のペースで専門性を発揮する働き方をどのように築いてきたのか。在宅ワークを始めるきっかけから、仕事への向き合い方、学び続ける姿勢まで。そのリアルなストーリーをお届けします。

管理栄養士 ヘルスケアライター
橋本 牧子
結婚をきっかけに、「食や栄養について学び、家族の健康を支えるおいしい食事を作りたい」という思いから、社会人になってから大学に通い直し、管理栄養士国家資格を取得。管理栄養士として、行政での栄養相談や健康教室・料理教室の運営、レシピ開発や撮影など、食と健康に関わる幅広い分野で活動。活動を重ねるうちに、根拠のあいまいな健康情報が多く広まっている現状に疑問を抱き、正確で信頼できる知識をわかりやすく伝える重要性を感じ、ヘルスケアライターとしての道へ。現在は、ヘルスケアライター、ヘルスケアライターとして活動したい人のサポート、および研究開発(RD)業務に携わっている。
目次

在宅で活躍する管理栄養士の働き方

いまの働き方の軸を教えてください

私の一日は、子育てが半分、家業が3割、管理栄養士としての仕事が2割です。
家庭と子育てを第一にしながら、空いた時間に在宅でできる仕事を続けています。
対面での健康教室や栄養相談を行っていた時期もありましたが、今はパソコンひとつで完結する働き方に変えました。

記事を執筆したり、他のライターさんの原稿を添削したりと、自分のペースで働けるのが魅力です。時間を選びながら専門性を活かせる仕事があるのは、本当にありがたいと感じています。

ヘルスケアライターとの出会い

ライティングを始めたきっかけは?

もともと管理栄養士として個人で活動したいと考えていました。
起業塾を探していたときに藤橋ひとみさんに出会い、そこでライティングの基礎を学んだんです。
学んだことを活かしてブログで発信を始めた頃、コラム執筆のチャンスをいただきました。“文章を仕事にする”ことは初めての経験で不安もありましたが、書くこと自体がとても楽しかったですね。

書くうえで意識していることはありますか?

コラムを書くうちに、健康情報の中には根拠があいまいなものが多いと感じるようになりました。また、現場時代に「この食品って本当に体にいいんですか?」と聞かれることも多く、そのたびに自分でも答えに迷うことがあったんです。
そうした経験があったからこそ、正しい情報をわかりやすく伝えたいと思うようになりました。

EBNを学んで、どんな変化がありましたか?

勉強会に参加して、食事摂取基準やガイドラインを読むようになりました。
EBN(科学的根拠に基づいた栄養学)の考え方を学んだことで、“感覚”ではなく“根拠”で語れるようになったのが大きな変化でした。
コラム執筆では、“わかっていること”だけでなく、“まだ明らかになっていないこと”もきちんと伝えるようにしています。読者に誤解なく伝わるよう、言葉の選び方にも気を配っています。

「書く」から「支える」へ——添削の仕事

添削の仕事を始めたきっかけは?

ライティングを続ける中で、他のライターさんの原稿を添削する機会が増えました。
同じテーマでも、書き手によって構成や表現がまったく違うんです。

だからこそ、添削のときは自分の色を出しすぎないように意識しています。書き手が伝えたいことをくみ取りながら、読者に届く形に整える——それが私の役割です。
書くことも読むことも好きですが、添削では“相手の思いを支える”感覚があって、また違った面白さがあります。

管理栄養士 ヘルスケアライター
橋本 牧子

在宅で挑戦する新しい形——RDの仕事

RDの仕事を始めたきっかけは?

RD(リサーチダイエティシャン)の仕事を知ったとき、「こんな働き方があるんだ!」と驚きました。パソコンひとつでできて、新しい分野に挑戦できる。そんな好奇心から始めました。

実際にやってみると、栄養価計算だけでなく、調理現場の知識やデータ処理など幅広いスキルが必要でした。数字を扱うだけではなく、その背景にある“人の生活”を思い浮かべながらデータを読み解いていく。その過程で、自分の専門性が磨かれていくのを感じています。

在宅管理栄養士が大切にする“学び続ける姿勢”

仕事を続ける上で大切にしていることは?

私の原動力は“学び続けたい”という気持ちです。
新しい知識を得るたびに、見える世界が少しずつ広がっていき、その変化を感じられることが、仕事を続けるモチベーションになっています。
書くこともRDの仕事も、やってみるたびに新しい発見があります。“知らなかった”を“わかった”に変えられる瞬間が、いちばんうれしいですね。

資格はゴールではなく、スタートだった

管理栄養士の資格を取ったとき、それがゴールだと思っていました。でも、実際にはそこからがスタートだったんです。
「資格をどう活かすかは、自分で選び取ることができる。」
そう思えるようになってから、働くことがもっと前向きになりました。

在宅での働き方に迷う管理栄養士へメッセージ

完璧を目指すよりも、まずは小さく動いてみてほしいですね。行動することで自分に合う道がきっと見つかります。
私自身、在宅で働くようになって、家庭を大切にしながら自分のペースでできる働けるようになり、ヘルスケアライターやRDという新しい分野に挑戦できました。今までの経験がつながって、今の自分をつくっていると思います。  

迷いながらでも大丈夫。動いていくうちに、“自分らしい生き方”は自然と見えてきますよ!

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