管理栄養士の給料が低いのはなぜ?給与が上がりにくい5つの理由を解説

「管理栄養士って、給料が低い気がする……」
国家資格を取得して働いているのに、仕事内容や責任の重さに対して給料が見合っていないと感じたことがある方もいるのではないでしょうか。実際に管理栄養士の給与について調べてみると、「管理栄養士は給料が低い」「管理栄養士は稼げない」といった情報も多く見つかります。
では、なぜ管理栄養士の給料は低いと言われるのでしょうか。
この記事では、管理栄養士の給料が低いと言われる理由を、仕事内容だけではなく「給与が決まる仕組み」という視点から考えていきます。また、今の職場で給料が上がる可能性をどのように考えればよいのかについてもご紹介します。
管理栄養士の給料は本当に低い?
まずは、管理栄養士の給料が本当に低いのかを確認してみましょう。令和7年度賃金構造基本統計調査によると栄養士の平均年収は約390万円 [1]。給与所得者全体の平均年収である478万円と比較すると、88万円ほど年収が低い結果となっています[2]。
ただし、この統計では管理栄養士と栄養士が「栄養士」としてまとめて集計されています。また、実際の給与は勤務先や雇用形態、年齢、経験年数、役職などによっても異なるため、「管理栄養士なら年収○万円」と一概にいうことはできません。それでも、資格取得までに必要な勉強量や実際の仕事内容、責任などを考え、「思っていたより給料が低い」と感じる管理栄養士は少なくないでしょう。では、なぜ管理栄養士の給料は上がりにくいのでしょうか。
管理栄養士の給料が低いと言われる5つの理由
1.資格を持っているだけで給与が大きく上がるとは限らない
管理栄養士は国家資格です。しかし、「国家資格を持っている=給料が高い」とは限りません。給与は資格の難易度だけで決まるものではなく、その人が担っている仕事や役割、勤務先の給与体系など、さまざまな要素によって決まります。
職場によっては管理栄養士資格に対する資格手当が支給されることもありますが、その金額や有無は勤務先によって異なります。そのため、管理栄養士資格を取得したとしても、資格取得前と比べて給与が大幅に上がるとは限らないのです。
「せっかく国家資格を取ったのに、思ったほど給料が上がらない」というギャップが、「管理栄養士は給料が低い」と感じる一因になっていると考えられます。
2.仕事の成果が売上として見えにくい
管理栄養士の代表的な仕事には、献立作成、発注、衛生管理、食数管理、栄養管理などがあります。どれも給食や医療・福祉サービスを安全に提供するために欠かせない仕事です。一方で、一般企業の営業職のように「この人が○件契約を取ったから○万円の売上が増えた」といった形で、仕事の成果を売上として示すことが難しい業務も少なくありません。
もちろん、売上に直接結びつかないからといって、その仕事の価値が低いわけではありません。適切な栄養管理や給食管理、事故の防止など、管理栄養士が担っている重要な役割には数字だけでは表しにくいものもあります。しかし給与という視点で考えると、「どれだけ事業に貢献しているのか」が金額として見えにくいことが、評価や給与に反映されにくい要因のひとつになる可能性があります。
3.勤務先の給与体系に影響される
同じ「管理栄養士」という資格を持っていても、勤務先によって給与は異なります。
管理栄養士の勤務先は、病院や高齢者施設、保育園、学校、給食会社、行政、一般企業などさまざまです。そして給与は「管理栄養士だからいくら」と決まるのではなく、それぞれの組織の給与体系によって決まります。つまり、本人が努力してスキルを高めたとしても、その職場に昇給できる仕組みやポジションが少なければ、給与には反映されにくいことがあります。
「今の職場でもっと頑張れば、いつか大きく給料が上がる」とは限らないということです。収入を増やしたい場合は、自分自身のスキルだけではなく、「今いる職場ではどこまで給与が上がる可能性があるのか」を考えることも大切です。
4.給与が上がるポジションが限られている職場もある
会社員として給与を上げる方法のひとつが、昇進することです。しかし、管理栄養士は職場によって配置人数が大きく異なります。管理栄養士・栄養士が複数人在籍し、主任や管理職などへキャリアアップしていける職場もあれば、少人数で業務を担当している職場もあります。
後者の場合、経験を積んでも、その先に昇進できるポジションそのものが少ないことがあります。仕事ができるようになり、任される業務が増えたとしても、それに伴って役職や給与まで上がるとは限りません。「経験年数は増えているのに給料があまり変わらない」という状況には、個人の能力だけでなく、職場の組織構造が関係している場合もあります。
5.身につけた専門性が給与に反映されるとは限らない
管理栄養士として経験を積んでいくと、栄養管理や給食管理だけでなく、対象者とのコミュニケーション、多職種との連携、後輩の教育、資料作成、情報収集、業務改善など、さまざまな力が身についていきます。しかし、「できることが増えること」と「給与が上がること」は必ずしも同じではありません。
例えば、新たな分野について勉強したり、職場で必要なスキルを身につけたりしても、それを評価する仕組みがなければ給与には直接反映されないことがあります。そのため、収入を増やすことを目的にスキルアップするのであれば、「何を学ぶか」だけではなく、「そのスキルはどこで、どのような価値になるのか」まで考えることが重要です。
管理栄養士の給料を上げたいときに考えたいこと

管理栄養士として収入を増やしたいと思ったとき、「もっとスキルアップしなければ」「何か新しい資格を取ったほうがいいのでは」と考える方もいるかもしれません。もちろん、知識やスキルを身につけることは大切です。しかし、給与は本人の能力だけで決まるものではありません。まずは、自分が今いる職場で「どのように給与が決まっているのか」を知ることから始めてみましょう。
1.今の職場で給料が上がる仕組みを確認する
同じ職場で働き続けた場合、自分の給与が今後どのように変化していくのかを考えたことはあるでしょうか。毎年どの程度昇給するのか、どのような評価が給与に反映されるのか、役職につくと給与はどのくらい変わるのか、資格手当はあるのかなど、給与が上がる仕組みは勤務先によって異なります。
こうした仕組みを確認してみると、「今の職場で5年後、10年後にどのくらいの収入を得られそうなのか」が少しずつ見えてきます。今の給料だけを見るのではなく、この先どのくらい上がる可能性があるのかまで確認してみることが大切です。
2.頑張れば必ず給料が上がるとは限らない
仕事を頑張ってできることを増やせば、給与も上がっていくと思うかもしれません。しかし、給与制度や評価制度によっては、本人が成長しても給与に反映されにくい場合があります。そもそも昇進できるポジションが少なかったり、一定以上の昇給が見込めなかったりする職場もあるでしょう。
そのような環境では、さらに資格を取得したり、新しい知識を身につけたりしても、それだけで大幅な収入アップにつながるとは限りません。「給料が上がらないのは、自分のスキルが足りないから」と考える前に、今いる職場に給与が上がる仕組みがあるのかという視点を持つことも大切です。
3.「何を学ぶか」だけでなく「どこで活かすか」も考える
スキルアップを考えるときには、「これから何を学ぶか」に目が向きがちです。しかし、収入という視点では、身につけたスキルを「どこで活かすか」も重要です。例えば、同じ管理栄養士としての経験でも、勤務先によって求められる役割は異なります。今の職場では給与に反映されない経験やスキルが、別の職場や仕事では評価されることもあります。
新しいスキルを身につける前に、これまでの仕事で何を経験し、何ができるようになったのかを整理してみるのもよいでしょう。管理栄養士として働いてきた中で身につけたものは、栄養学の知識だけではありません。対象者への説明やコミュニケーション、給食運営、多職種との調整、後輩教育、資料作成など、日々の仕事の中で身につけている力もあります。今いる職場では当たり前に使っているスキルが、場所を変えると強みになることもあります。
4.今の職場で難しいなら、働く環境を変える方法もある
今の職場の給与体系を確認した結果、「ここで働き続けても大幅な収入アップは難しそう」と分かることもあるでしょう。その場合は、転職して勤務先を変えることも選択肢のひとつです。また、今の仕事を続けながら副業や業務委託の仕事に挑戦し、職場とは別の収入源を持つ方法もあります。
大切なのは、「管理栄養士だから給料が低い」とひとまとめにして考えないことです。同じ資格や経験を持っていても、どこで、どのような形で働くかによって収入は変わります。今の職場だけを基準にして「自分の管理栄養士としての価値はこのくらい」と決めてしまう必要はありません。
「給料が低い」と感じたら、まず給与が決まる仕組みに目を向けてみよう

管理栄養士の給料が低いと感じる背景には、資格そのものの価値だけではなく、勤務先の給与体系や組織構造、専門性の評価方法など、さまざまな要因があります。だからこそ、「もっと勉強しなければ」「資格を増やさなければ」と考える前に、一度、自分の給与がどのような仕組みで決まっているのかを確認してみてはいかがでしょうか。
今の職場では、この先どのくらい給与が上がる可能性があるのか。自分が身につけてきた経験やスキルは、きちんと評価される仕組みになっているのか。そして、今の職場以外ではどのような価値になるのか。こうした視点で考えてみると、「管理栄養士だから給料が低い」というだけでは見えてこなかった選択肢が見つかるかもしれません。
収入を増やす方法は、今の職場で昇給を目指すことだけではありません。まずは自分が置かれている環境と、これまで身につけてきた経験を整理することから、これからの働き方を考えてみてはいかがでしょうか。
【参考文献】2026年8月16日参照
[1] 総務省統計局, e-start政府統計の総合窓口,令和7年度賃金構造基本統計調査_職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)
[2] 国税庁,令和6年分民間給与実態統計調査結果





